ゲストに結婚の証人となってもらう挙式スタイル「人前式」。教会式や神前式などとは違い、宗教にとらわれず自由に式を組み立てられるのが魅力です。しかし、流れを自分たちで組み立てるうえでどうすればよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は人前式がどんな結婚式スタイルなのかを解説。費用や流れ、誓いの言葉の例文、演出例などもご紹介します。これから結婚式を検討している方は参考にしてみてください。
人前式とは、神様や仏様の前ではなく、列席していただいたゲストの前で結婚の誓いを立て、証人となってもらう結婚式スタイルです。
神前式や仏前式など、スタイルによって挙式できる場所が決まっていることが多い一方で、人前式は宗教などに決まりがないため、場所・衣装・進行などすべて自由なのが特徴。無宗教が多い日本で選ぶカップルが多いスタイルです。
雰囲気はきらびやかで豪華な式から小規模でアットホームな式まで、衣装はウェディングドレスでも和装でも可能など、希望通りの式を叶えやすいのがメリット。また、ゲストにも式の演出などに協力してもらうことで、一体感が生まれやすいのも魅力です。
ただし、年配の方など人前式になじみのない方もいます。目上の方や年配のゲストを多く招待する場合は、どんな式なのかしっかり説明したり、親の了承を得たりと配慮は必要です。
人前式と神前式は言葉の響きも似ており、間違えられやすいため注意。神前式は日本の伝統的な挙式スタイルで、会場は神社や神殿があるホテルなど、服装は和装と決められています(式は白無垢のみと決められている場合もある)。
また、式の流れにも決まりがあり、花嫁行列や三三九度の儀などの儀式を行うのが特徴。神前式を決める前には、両家で宗教を確認しておく必要があります。
神前式については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
参考:神前式とはどんな結婚式?費用・流れ・衣装・髪型について徹底解説
また、人前式と混同されやすいのが披露宴。人前式は自由度こそ高いものの、2人が結婚や永遠の愛を誓う立派な儀式です。
一方で、披露宴では2人のお披露目をして、お互いの親族や知人にパートナーを紹介をします。飲食や楽しい演出などを考え、さまざまなおもてなしをしたり、お世話になった方々に感謝を伝えたりする場所で、人前式の後に行われるものです。
人前式を挙げる場所に決まりはありません。チャペルやレストラン、披露宴と同会場、庭園など好きな場所で挙げられます。2人が出会った場所や、プロポーズの場所など思い出の場所で挙げられるのがメリット。人気のある会場はチャペルです。
ただし、場所に制約がないとはいえ、人前式も立派な結婚の儀式。くだけすぎず結婚式にふさわしい場所を選びましょう。ゲストのことを考えて、交通アクセスや披露宴会場との距離などを考えて選ぶ必要もあります。
また、チャペルで人前式をする場合は、十字架を外すもしくは隠す必要がある、本物のキリスト教式のチャペルや神社、寺院では人前式自体が断られるなど、会場によっては制約があったり挙式ができなかったりする場合もあります。事前に確認してから会場を決めましょう。
人前式は場所から衣装、演出などがすべて自由なので、費用はピンキリ。神前式や教会式よりも費用を安く抑えられるのも人前式の大きなメリットで、約20~60万円が目安です。
10万円以下でアットホームな式にしたり、60万円以上かけて盛大に式を行ったりすることも可能。自分たちの希望するウェディングスタイルを決めておき、費用を多めに見積もっておくことが重要です。
そのうえで、ブライダルフェアや、無料の見積もり相談などを利用してプロに相談し、まずは式場代から確定させていきましょう。
人前式の流れについても、2人で自由に決められます。挙式は20~30分ほどでおさめるのが一般的。儀式として厳かにすべき部分はしっかりと厳かにし、ラフすぎる式にするのは避けましょう。
しかし、すべての流れを考えるのは骨が折れるもの。会場によって教会式や神前式の流れを参考にしたり、両親やウェディングプランナーに相談したりしながら流れを決めましょう。以下で、人前式の流れの一例を挙げるので、参考にしてみてください。
まず、受付後に結婚の証人となるゲストから先に入場。受付で結婚証明書に、証人としてサインしてもらう場合もあります。入場する順番については、特に決まりはありません。
また、受付で結婚証明書へのサインを求めない場合は、挙式中に列席者のなかから、代表者(新郎側1名・新婦側1名)がサインをする流れを設けることもあります。その場合は、代表者が前に出やすい位置に着席できるように指定することも必要です。
まずは新郎から入場。その後、新婦の入場前に、新婦の母親がベールダウンを行い、ゲストに見守られながら父親とバージンロードを歩く流れがメジャーです。バージンロードを誰と歩くかは自由。父親や母親などと相談しながら、納得のいく方法を選びましょう。
司会者により、人前式の開式が宣言され、ゲストに新郎新婦の結婚の証人となってもらうことを伝えます。その後、新郎新婦が事前に考えた誓いの言葉を、ゲストに向けて拝読するという流れです。
誓いの言葉にも決まりはないため、2人で同時に読み上げたり、順番に読み上げてお互いに結婚の誓いを立て合ったりすることもできます。
結婚の誓いとして、まず新郎から新婦へ、次に新婦から新郎へ指輪交換を行います。指輪交換後は、誓いのキスを交わす場合もありますが、人前でのキスに抵抗がある方は省略することも可能。その後、指輪を付けた手をゲストにお披露目します。
指輪交換の次に、あらかじめ必要事項を埋めておいた結婚証明書へ新郎新婦と、ゲストの代表者がサインをします。
婚姻届の提出が済んでいない場合は、ここで署名押印を行うという演出も。ただし、法的に効力があるのは婚姻届のみです。結婚証明書を婚姻届として役所に提出できないことは覚えておきましょう。
署名押印をした結婚証明書や婚姻届をゲストにお披露目。司会者が2人の結婚に対しての承認をゲストに伺い、拍手などで賛同をもらいます。結婚の承認の仕方は、クラッカーやベルを鳴らすなど特殊な演出をすることも可能です。
その後、司会者が2人の結婚の成立を宣言します。人前式においては「ゲストに結婚の承認をしてもらう」ことが何よりも重要。よって、この流れは必要不可欠といえます。
司会者がゲストに向けて、2人の結婚の立ち合いに対してのお礼の言葉と閉式の言葉を述べて閉式。そして、新郎新婦がゲストに見守られながら2人で退場します。
人前式の誓いの言葉に決まった形式はありませんが、まずゲストへの挨拶をし、誓いを立て(お互いへ向けての誓い)、最後に結びの言葉と日付、2人の名前を述べるのがメジャーな流れです。
今回は、一般的な流れに沿って誓いの言葉の例文をご紹介します。誓いの言葉は、自分たちならではの言葉にアレンジできるので、オリジナリティにあふれた文章を組み立ててみてください。
本日私たちは大切な皆さまに見守られながら 結婚式を挙げられることを感謝し 結婚の誓いをいたします
私たちはこれからも 感謝の気持ちを忘れずにお互いを尊重し あたたかい家庭を築いていくことをここに誓います
未熟な2人ではございますが 今後とも末永く見守っていただけますと幸いです
○月○日 新郎新婦の名前
新郎:本日私たちは大切な皆さまに見守られながら 結婚式を挙げられることを感謝し 結婚の誓いをいたします(ゲストに向けて)
△△さん(新婦の名前) 私○○は あなたのことを生涯愛し 大切に守り抜いていくことをここに誓います(新婦に向けて)
新婦:○○さん(新郎の名前) 私△△は あなたのことを生涯愛し 支えていくことをここに誓います(新郎に向けて)
2人:未熟な私たちではありますが 2人で幸せな家庭を築いていきます
皆さま 今後ともあたたかく見守っていただけますと幸いです
○月○日 新郎新婦の名前
人前式の演出は、ブーケトスやキャンドルサービスなどがよく知られていますが、演出も自分たちで自由に決められます。今回は一部の人気な演出方法をご紹介。さまざまな演出があるので、自分たちの希望する式の雰囲気に合わせて選んでみてください。
新郎新婦からゲストへ送る手紙「レターセレモニー」も人気の高い演出のひとつ。受付時などにゲストへ渡して挙式前に呼んでもらいます。
相手への感謝の言葉や、ゲストとの特別なエピソードを盛り込むことで、笑えたり感動したりと喜んでもらえること間違いありません。
挙式中の指輪交換の際に、2人のもとへリングを運んでくれるリングボーイやリングガール。新郎新婦の甥・姪など、4~10歳ごろの子供に頼むのが一般的です。リングボーイやリングガールを頼みたいゲストがいる場合は、早めに依頼しておきましょう。
人前式の退場時の代表ともいえる演出がフラワーシャワー。花で身を清め、幸せを妬む悪魔や災難から2人を守ってくる意味があります。ゲスト参加型で、近くでお祝いしてもらえる、写真にも映えやすいなどがメリットです。
人前式は列席してもらったゲストに、2人の結婚の証人となってもらう結婚式のスタイルです。神前式や教会式などとは異なり、場所や衣装、流れなど自由度が高く、費用も安く済ませられるメリットがあります。
基本的な流れはウェディングプランナーや両親などと相談して、納得のいくものにするのがおすすめ。誓いの言葉や演出などはオリジナリティを持たせて、2人だけでなくゲスト全員が快くお祝いできるような楽しい式を作り上げましょう。